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患者さまとご家族の声
Family’s VOICE

Interview03
『お母さんの声』
入所:大塚翼さんの母、大塚雪子さん

家族にとっても
胃ろう食は希望の日々

  • 大塚雪子さん 大塚雪子さん
  • 翼が胃ろうになったのは21歳の時。それまでは口から食べていましたが、てんかん重積発作を起こし、気管切開を余儀なくされました。つばさ静岡に入所するまで、呼吸困難で月の半分は入院している状態。肺が機能していないので二酸化炭素が溜まってしまい意識が混濁、いつも危険な状態でした。さらに変形により腸の通過が悪くなり、たびたび吐くようになってしまったのです。検査の結果、半固形栄養剤の方が液体より通過が良いことが分かり、胃ろう食の注入をはじめてみることになりました。

  • 初めて胃ろう食を注入してみた時、おかずのいい匂いに、翼は口を動かして噛むようなしぐさを見せました。口から食べることを知っているから、ご飯を食べる喜びを思い出したのだと思います。こんなはっきりと反応したのは気管切開となってから初めてのことでした。
    胃ろう食を提供してもらうようになってから5年ほどたちました。週1回胃ろう食の日は、私が注入しに来るようにしています。今では口から味見もできるようになりました。まず今日の献立を説明して口元にスプーンを持っていくと、「早く食べたいよ」「早く注入してよ」と催促するのが分かります。数口味見をして、残りは胃からいただきます。 翼の食事を介助するひと時は、私自身がとても楽しいのです。他の利用者さんやお母さんたちと一緒に、いろいろな話をしながら、じっくり時間をかけて食事ができるからです。

  • 大塚翼さんの母
    ▲大塚翼さんとお母さん/食事風景

    最初の年は感染症にかかって何度も入院しましたが、今は体調もだいぶ落ち着き、たくましくなりました。自信がついたのかもしれません。少し前までは、この子を看取ってから私が逝くのだろうなと思っていましたが、今では「お母さんが先に行っても大丈夫だから」と、周りの人が言ってくれます。冗談ではなく、本当に私よりも長生きするかもしれない、と希望を感じることができるようになりました。
    翼には姉と妹がいますが、小さい頃から良く手伝ってくれ、翼のことも大事にしてくれました。家族の協力があったから、今まで何とかやってこれたのだと思います。先日ここで行われたクリスマス会には、孫も含めて家族8人そろって参加し、一緒に豪華なフルコースをいただきました。翼も同じフルコースを胃から堪能し、家族と一緒に仲良くすごすひとときは本当に楽しそうでしたね。

浅野先生のコメント

浅野 一恵 先生

翼さんがここに来た時は、まだ液体を注入するだけでした。胃の出口に狭窄があるから、固形状のものは注入できないのではないかと、前病院の担当医師から言われていたのです。しかし液体だといつまでも胃に停滞してしまい、逆流による胃出血を繰り返していました。造影検査をしたところ、半固形状の食事であれば逆流せず、小腸への通過が良好であることが分かりました。実際に胃ろう食をはじめると胃出血もおさまり、胃に停滞し続けることも減り、体調がとても良くなりました。感染症にかかることが減り、褥瘡(褥瘡)が良くなりました。